禅の言葉の中に『両忘(りょうぼう)』という言葉があります。
『両方の極端を忘れる』=こだわりを持つことを捨てなさい。
という意味になります。
ただ、言葉の表面上だけを捉えて両方のことを忘れてしまう。とは捉えないでください。
でもちゃんと意味を知れば、日々の生活、日々の行動に自信が持てるようになります。
人間は常に物事を判断する時に、どちらか一方に偏って判断することが多いですよね?
例えば・・・
「これがダメなら、これ」「右か、左か」「好きか、嫌いか」「男か女か」
「楽しいか、楽しくないか」「白か黒か」などなど。。。
人って何事においてもハッキリと決めたがる性質を持っていて、
日本の学校教育ではずっと「正解は何か?」と迫られる教育ですよね。
だから何か差し迫った状況の時に選べるものが2つしかなかったら、
どちらからしか選ばないのです。
でもね、冷静になって考えてみてください。
実際、世の中を広く、俯瞰して見てみると2つあるうちの一方からしか選ばない
というのは、その都度、自分の狭い視野の中で見ている1つの考え方でしかないんです。
この両忘というのは、
自分が決めている1つの選択(右か左か、東か西か、好きか嫌いか・・・など)を
取っ払って見ることによって、囚われを捨てることが出来る1つの境地。
ということです。
「そうは言ってもさ、なかなかその様なレベルに行けないのが人間やん!」
って思いますよね。笑
はい、僕もそう思います。笑
じゃあ、どうしたらいいか?
答えは、
「両方を忘れるのではなく、両方を徹底的に考える!」
です。
仕事でも恋愛でもプライベートでも・・・
人生には常に2つの選択肢の繰り返しで成り立っていますよね。
朝だってそう。「起きる」か「起きない」かは毎日、自分の選択ですよね。
こういった時に、どちらかに囚われてしまう。というのは良くないこと。
なぜならば、第3の道(選択肢)があるかもしれないから。なんです!
日頃から迫りくる2つの選択に対して、考え抜く。ということです。
例えば、森の中で迷ってしまったとして、
目の前に2つの道があったら当然のように誰だって良き道を選びたい。
と思いますよね。
でも、この時に「こっちを選んでしまって、違っていたらどうしよう?」と
考え始めると、脳の中で反芻が起こり結果、囚われることになり、
前に進めなくなってしまいます。
なので、この2つの道を徹底的に考える。ということをして欲しいのです。
「こっちの道を選んだら、どうなるんだろう?」とめちゃくちゃ考えるんです。
(こっちに行ってみたら?こっちを取ったら?という事を日常生活の中で考えまくる。)
これを日頃からやるように繰り返していると、
どちらにも囚われない。という世界になって来ます。(いざという時ね)
そして、極めて合理的に物事を判断できるようになります。
過去の自分自身の経験値に基づいて、統計的に判断することができ、
「こっちを選べば、有利かな」
「こっちに行ってもしダメだったら、リスクを負うぞ。そしたらこういった事象が起こるだろう」
といった覚悟ができ、1つの道に進むことができます。
両方を忘れる。そのことによって第3の発想を呼び起こし、
自分の迷いや囚われをなくして、物事を見る。ということができるようになります。
2つの道を同時には進めませんよね?^^;
日頃から2つの可能性を検証する習慣を身につける。
このプロセス自体が自分自身の経験値、そして成長にもつながるし、
常に目の前の選択肢以外の第3の視点から新しい発想を得られるようになります。
禅の言葉は人によっては「曖昧だ!」とか「漠然としている!」とか言われますが、
そうではなく、禅は立派な行動科学の1つです。
合理的に自分の人生の選択をより良きものにするためにとても大切な考え方の1つだと
僕は思っています。
『両忘』ある意味マインドフルネスの本質を突いた禅の言葉。
ぜひ皆さん、どちらか選ばなければいけない状況の時に
この言葉を思い出してください^^
shun
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